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王立アカデミーへの手紙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フランクリンは、「自身のおなら(farting)に関する考察に比べれば、他の科学的探求などファージング(イギリスの少額硬貨。ここではおならを意味する farting と掛けている)ほどの価値もほとんどない」という洒落を飛ばした。

王立アカデミーへの手紙』(おうりつアカデミーへのてがみ、英語: "A Letter to a Royal Academy"[1])は、駐仏アメリカ合衆国大使として海外に住んでいたベンジャミン・フランクリンによって1781年頃に書かれた、放屁に関するエッセイである。『おならについての王立アカデミーへの手紙 (A Letter to a Royal Academy about Farting)』や『堂々とおならをしよう (Fart Proudly)』と呼ぶこともある[2][3]

概要

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『王立アカデミーへの手紙』は、ブリュッセル帝国・王立アカデミー英語版からの科学論文募集の呼びかけに応える形で執筆された。フランクリンは、ヨーロッパのさまざまな学術団体がますます気取っており、実用的でないことに囚われていると感じていた。そこで、自身の「下品で破廉恥な一面」をのぞかせ[1]、人間の臭いを改善する方法について研究や実用的な考察を行うべきだと提案するエッセイを書いて応じた[1]

フランクリンはブリュッセル・アカデミーにこのエッセイを提出することはなかったが、文通を続けていたイギリスの哲学者で牧師のリチャード・プライス宛ての1783年9月16日の手紙にこれを同封した。そして、気体の研究で有名だったイギリスの化学者ジョゼフ・プリーストリーに対して、「彼はよく気取る傾向があるから」[注釈 1]と冗談交じりに、転送すべきだという提案を添えた[4][5][6]。プライスはそれに従い、「これをプリーストリー博士に伝えました。私たちはそのユーモアとそこに含まれる風刺を楽しませてもらいました。」と報告している[7]

フランクリンのエッセイは次のように始まる。

I have perused your late mathematical Prize Question, proposed in lieu of one in Natural Philosophy, for the ensuing year [...] Permit me then humbly to propose one of that sort for your consideration, and through you, if you approve it, for the serious Enquiry of learned Physicians, Chemists, &c. of this enlightened Age. It is universally well known, that in digesting our common food, there is created or produced in the bowels of human creatures, a great quantity of wind. That the permitting this air to escape and mix with the atmosphere, is usually offensive to the company, from the fetid smell that accompanies it. That all well-bred people therefore, to avoid giving such offence, forcibly restrain the efforts of nature to discharge that wind.

私は、来る年のために、自然哲学の代わりに提案された、あなた方の最近の数学の懸賞問題に目を通しました[注釈 2]。(中略)それでは、あなた方のご検討のために、そしてもし承認いただけるなら、この啓蒙された時代の学識ある医師、化学者などの真剣な探求のために、そのような類の問題を一つ、謹んで提案することをお許しください。私たちが日常の食べ物を消化する際、人間のの中に大量のガスが生成または発生することは、広く知られています。この空気が逃げて大気と混ざるのを許すと、それに伴う悪臭のために、通常、同席している人々に不快感を与えます。それゆえ、教養ある人々は皆、そのような不快感を与えるのを避けるために、そのガスを放出しようとする自然の働きを無理に抑え込んでいます。

エッセイは続けて、さまざまな食べ物が放屁の臭いにどのように影響するかを論じ、おならの科学的テストを行うことを提案している。フランクリンはまた、科学者たちが健康的で不快ではない薬を開発し、それを日常の食べ物やソースに混ぜることで、放屁を「無害であるだけでなく、香水のように心地よい」ものにする効果を持たせるよう取り組むべきだと提案している。エッセイは、この議論の実用的な応用に比べれば、他の科学など「ほとんどファージングの価値もない(scarcely worth a fart-hing)」[注釈 3]という言葉で締めくくられている。

このエッセイのコピーは、パッシー英語版にあったフランクリンの印刷機で彼自身によって私的に印刷された[8]。1960年代には、アメリカ哲学協会の『ベンジャミン・フランクリン文書(Papers of Benjamin Franklin)』第32巻に収録されている[4]

現代において

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1929年以降、このエッセイはしばしば、「出版社から読者へ」という注記とともに印刷されてきた[9][10]。この注記は、オリジナルの手紙が「1881年以来アメリカ合衆国国家の所有物である」と主張された上で、さらにおならに引っかけた次のようなダジャレが披露する。

「フランクリンの伝記作家たちが仄めかしてきた陰口のせいで背景の空気は濁ってしまったが、どれほど現代的な伝記作家であっても、乙女のような慎み深さから赤面してしまい、この作品の公開の寸前で踏みとどまってきたのである」

前書きはまた、昔に亡くなっているため、この作品を彩るために自身のイラストを使用することに「有難くも異議を唱えなかった」版画家のトーマス・ビウィックに皮肉を込めて感謝している。

フランクリンの手紙から240周年となる2021年、『MEL英語版』誌は、現在のベルギー王立フランドル科学芸術アカデミー英語版(ブリュッセル・アカデミーの後継組織にあたる)の一部門であるベルギー・ヤング・アカデミーオランダ語版の科学者たちに、この手紙に対する返答を依頼した[2][11]

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. 気体という意味の「Airs」と、気取るという意味の「give himself Airs」をかけた洒落。
  2. フランクリンの嘲笑を引き起こした元の問題(非常に曖昧な性質の幾何学の問題)は、ここで見ることができる。 “Séance du 13 & 14 Octobre 1779”. Mémoires de l'Académie Impériale et Royale des Sciences et Belles-Lettres de Bruxelles. 3. (1780). p. xliv
  3. イギリスの少額硬貨「ファージング (farthing)」 と「おなら (farting)」 を掛けた洒落。

出典

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  1. 1 2 3 Carl Japikse, ed (2003). Fart Proudly: Writings of Benjamin Franklin You Never Read in School. Berkeley, CA: Frog Books. ISBN 9781583940792
  2. 1 2 VanHooker, Brian (2021年1月22日). An Oral History of Benjamin Franklin's Essay 'Fart Proudly'”. melmagazine.com. 2022年1月8日閲覧。
  3. Jansen, Sue Curry『Censorship : the knot that binds power and knowledge』Internet Archive、New York : Oxford University Press、1988年。ISBN 978-0-19-505325-8。「このエッセイは、1990年にカール・ヤピクセが出版した、フランクリンの「政治的に不適切」とされる著作を集めた本のタイトル『Fart Proudly(堂々とおならをしよう)』として使われた。 ただし、ヤピクセ自身がそのタイトルをこの「手紙」という作品そのものに直接名付けたわけではない。しかし、この本が出版されて以降、他の人々によって、そのタイトル『Fart Proudly』自体がこの「手紙」の別名として使われるようになることがある。」
  4. 1 2 From Benjamin Franklin to Richard Price, 16 September 1783”. founders.archive.gov. 2026年5月31日閲覧。 “この論文は、本来は「ブリュッセル王立アカデミーへ」宛てられたものだった。フランクリンは、後に自身の軽文章集向けにこれを印刷した際(第32巻、396–400ページ)、「ブリュッセル」という名前を伏せた(ただし、草稿や現存する1通の自筆手紙にはその名が残っていた)。 彼がプライスに送った写しでは、アカデミーの名が明らかに「B——」と伏せ字にされていたようだ。これについては、1784年4月6日付のプライスの返書(アメリカ哲学協会蔵)に記載がある。 また、その返書からは、エッセイがこの(9月16日の)手紙に直接同封されていたわけではなく、ヘンリー・ダッジの兄弟によって手渡しで届けられたことも示されている。フランクリンはその配送を9月26日頃に手配した。これについては、同日付のジョン・ベインズとヘンリー・ダッジからの手紙に記録が残っている。”
  5. Albert Henry Smyth, ed (1907). “1441. To Richard Price”. The Writings of Benjamin Franklin. 9 (1783–1788). Macmillan. p. 100. ISBN 978-0-8383-0194-4
  6. Benjamin Franklin (1937). “A Prize Question”. In Paul McPharlin. Satires and Bagatelles. pp. 36–39. ISBN 978-0-9748086-4-2
  7. To Benjamin Franklin from Richard Price, 6 April 1784”. founders.archive.gov. 2026年5月31日閲覧。
  8. The bagatelles from Passy: Text and facsimile. Eakins Press. (1967). p. 77, 181–185
  9. “A Letter by Dr. Franklin to the Royal Academy of Brussels”. Poetica Exotica. New York: Esoterica Biblion Society, "at the Sign of the Blue-Behinded Ape, 1929". (1938)
  10. “The Publisher to the Reader”. Benjamin Franklin on Marriage. The Frankliniana Society. (1929). p. 19
  11. ISAPP board members look back in time to respond to Benjamin Franklin's suggestion on how to improve 'natural discharges of wind from our bodies'”. isappscience.org (2021年1月29日). 2024年8月18日閲覧。

外部リンク

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